伊坂作品を読むと、いつも「?(はてな)」がつきまとう。
この作品だってそう。
のっけから「?」。
主人公の伊藤が、知らない部屋で目覚めるところから物語は始まるんだから。
物語の舞台は、
宮城県は仙台市と、牡鹿半島をずっと南に行った「荻島」という島。
伊藤が目覚めたのはなんと、いたはずの仙台ではなく
江戸以来外界から遮断されているという「荻島」で・・・?
「どうしてそうなった」状態のまま読み進めていくと、
ついには「しゃべるカカシ」優午が登場する。
「しゃべるカカシ」・・・?
「ええぃ、この世界を受け入れるしかない!」と読み進めると、
謎が謎を呼ぶ展開にもう目が離せなくなってしまう。
伊坂ワールド全開なのである。
伊藤が「?」の中過ごす日々、出会う人々。
それらが紡いでいく「?」がいくつもの伏線を張っていく。
そして物語の終盤。
その伏線が次々と回収されていき
すべてのピースがきれーーーーいにはまっていく。
多くの「?」が「!」に変わる瞬間。
もう痛快としか言いようがない。
ぜひその瞬間を体験してもらいたい。
リアルとバーチャルの融合。
現実と非現実。
嘘と誠。
仙台と荻島。
それらの中間にただよって、
ふわふわとした感覚の中に浸ることができる。
ちなみにタイトルの「オーデュボン」とは、
実在した人物の名前。
オーデュボンの祈りとは?
タイトルからして?なこの作品。
伊坂幸太郎のデビュー作であります。